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行苦性(4) [仏道]

箭によりて 南伝 相応部経部36-6 [阿含経典三巻 P80 増谷文雄著 筑摩書房]

「比丘たちよ、まだわたしの教えを聞かない凡夫は、苦なる受に触れられると、泣き、悲しみ、声をあげて叫び、胸を打ち、心狂乱するにいたる。けだし、彼は二重の受を感ずるのである。すなわち、身における受と、心における受とである。
 比丘たちよ、それは、たとえば、第一の箭をもって人を射て、さらに、また、第二の箭をもってその人を射るようなものである。比丘たちよ、そのようにすると、その人は、二つの箭の受を感ずるであろう。
 それとおなじように、比丘たちよ、まだわたしの教えを聞かない凡夫は、苦なる受に触れられると、泣き、悲しみ、声をあげて叫び、胸を打ち、心狂乱するにいたる。けだし、彼は二重の受を感ずるのである。すなわち、身における受と、心における受とである。

 すなわち、苦なる受に触れられると、彼は、そこで瞋恚(いかり)を感ずる。苦なる受にたいして瞋恚を感ずると、眠れる瞋恚の素質が彼を捉える。また、彼は、苦なる受に触れられると、今度は欲楽を求める。なぜであろうか。比丘たちよ、おろかなる凡夫は、欲楽をほかにしては、苦受から逃れる方途を知らないからではないか。そして、欲楽を欣求(きんきゅう)すると、眠れる貪欲の素質が彼を捉える。彼は、また、それらの受の生起も滅尽も、あるいは、その味わいも禍いも、あるいはまた、それからの脱出の仕方も、ほんとうには知ってはいない。それらのことをよく知らないからして、苦でもない楽でもない受から、眠れる無智の素質が彼を捉えることとなる。

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<怨憎会苦>
 一般に使われる「愛」の反対語は「憎しみ」です。何かを「愛」すれば、愛ではない「憎しみ」が起こります。片方だけ存在することはできません。明かりや光があれば闇や影があります。得する人がいれば損する人がいます。
 本能で生きている「いのち」にとっては、「恐怖といらだち」を常に感受しています。六処により触があります。触が起こると受が起こります。

 各人が「満足」の条件(基準)を設けているので、その基準以下であれば怨む対象となります。「私の満足」を邪魔する対象はすべて「嫌いで忌避」すべきとの判断です。
 先輩が話をしているのに「スマホ」をいじっていることは、「基準」以下の後輩となり制裁を科すことになります。

 透けて見えるような紙の厚さしかない「価値判断」の上か下かで「愛憎」が判断されます。「己」の価値判断に適合しない、「姿かたち」「態度」「物言い」「音量」「臭い」「味覚」「空調」「湿度」「温度」「触感」「乗り心地」「サービス」・・・等の数えきれない対象があり「忌避」と判断を下します。
 これらは、「我がまま」がつくりだした全くの「私」だけの「どうでもよい価値判断」ではないでしょうか。他人には全く関係のない「己」が作り出した「価値判断」でしかありません。
  
 「いのち」の営みは、他人に知られることもありません。また、他人の「いのち」も知ることができません。天上天下(宇宙や三界)での唯我独尊である存在です。その唯我独尊である他人が、あなたの「価値判断」など知る由もありません。

 勝手な「価値判断」は、「己」で「己の首」を絞めているのではないでしょうか。「私」が作った「私の勝手な価値判断」から見ている対象となる「他」にはなんら責任はありません。勝手に「自分の価値判断」を「他」が判っていると思い込み「私の勝手な価値判断」を押し付けているだけです。

 人間の「いのち」の数だけ「価値判断」があります。勝手な「価値判断」に対して、いちいち忖度して生きる必要があるでしょうか。
 他人に、「己」の自己防衛や自己愛のために作った「勝手な価値判断」など押し付けていいものでしょうか。
 互いの「価値判断」を押し付け合っています。各人が「苦」を与える主体となっています。また同時に他から「苦」を受け取ってもいるのです。
 主体(他に「苦」を与える主体)であり客体(他から「苦」を与えられる対象)でもあります。

 あなたが嫌っている人(あなたから嫌われている人)は、あなたをあなた以上に嫌っているかもしれません。あなただけが嫌な思いをしているわけではありません。
 あなた自身も、あなたが嫌な思いをさせている人から見れば、客体(嫌いな対象)となってるかもしれません。

 あなたは一人で外界を見る「ひとつの価値判断」の所有者です。他の70億人は「70億の価値判断」であなたを見ているのです。見られている「私」などちっぽけ(1/70億)でしかないのです。



<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに仏道の修行による智慧によって確証することをお願いいたします。
引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。
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